Masaki Hayashi

間を奏でる(林 正樹)/doux (2014)

ジャンルを超えて活躍するピアニスト林 正樹のアコースティック・ユニット「間を奏でる」の1stアルバムです。「間を奏でる」の編成:林 正樹piano・堀米 綾irish harp・磯部 舞子violin, viola・織原 良次fletless bass・小林 武文percussion

 ネット上で情報を探ると、「スピーカーを使わないNonPA、生音だけで聞かせるライヴユニット」(dacapoより引用)だそうです。エレキベースなのに?とちょっと突っ込みたくなりますが、PAで調節しないで、場の響きに互いに影響し合ってサウンドさせるという意図なのでしょう。CDジャケットからも静謐さ、非対称的な和のテイストが伝わってきます、というか僕はこのジャケットに魅かれて買ってしまったのかもしれません。余談ですがこのジャケット、昔買った本の装丁に雰囲気が似ていて魅かれたのかも。その本は「エリック・サティ」(アール・ヴィヴァン選書・高橋悠治/岩崎力共訳・戸田ツトム装丁・リブロポート1985)。そういうところもなにか通じるものがある…

 

 間を感じさせる音楽としては数十年前に現代音楽では勿論、環境音楽やミニマルミュージックなどの言葉で分類されるこれも一種の現代音楽で流行っていました。風、水の流れ、波の音など単純な繰り返しではないがマクロには均質なサウンドにある偶然性を乗せたような音楽、人間が演奏する必要の無いようなシンプルで規則的な音のパターン。「間を奏でる」と聞いて、そういうものが一瞬頭をよぎる。またそういった要素も少し持っているようにも感じますが、聞き進めるとこれらとは質感は似ているものの、全く違うアプローチで成り立っていることが直ぐに分かります。やたら間を強調したり、反対に即興的に間を音で埋め尽くす音楽は聴いていて疲れますが、このdouxというアルバムは、なんというか、間をいい塩梅に埋めてゆく音楽、リズムや音律が身にしみ込んだ童謡のような、フォルクローレの響きのような懐かしさや安息を引き出してくれるように感じます。強烈な個性で人を惹き付けるというのではなく、気付くとそばに寄ってしまっているような、そんな不思議な魅力のあるアルバムです。雑誌Latinaの8月号の新譜紹介、Saigenjiさんの短いレビューがとても的を射て腑に落ちます。

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2nd Solo Album

「Duet」が完成!

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2020/7/1より発売開始

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