Luis Chávez Chávez

Luis Chávez Chávez / RESONANTE (2011)

晩夏から初秋、朝晩の思いがけない冷たい風や、日中ふと見上げて空を高く感じる頃、急に聞きたくなって来たのが今回ご紹介する、チリのギタリストLuis Chávez Chávezの「RESONANTE」というアルバムです。2011年の録音、アルゼンチンのCarlos Aguirreの主宰するレーベルSHAGRADA MEDRAからのリリースです。僕が入手したのは一年余り前の2013年夏でした。1曲目はアルバムタイトル曲「Resonante」(響き)。ジャケットの重なり広がる山々とそこから発する川の流れ、下の方に山を模してギターが隠れていますね。弦の響きが山々をこだまするようです。曲は何と言うか南米的でない不思議な「響き」です。2曲目の「El que te dije」はJuan Falúに捧げられた素敵な伝統的なフォルクローレの形式の曲です。アコーディオンはCarlos Aguirreが弾いてます。このさりげないアンサンブルがいいなあ。4曲目「Dulce Carolina」ではそのJuan Falúとギターデュオで、メロディーが美しい緩やかなワルツを奏でています。甘ったるくなりそうな曲ですが、決してそうならず、粘りのある明確な音が微妙な緊張感になって気持ちよい。5曲目「Pa’ la Rosa」はLuisのお母さんRosaに捧げられた曲です。出だしの意味深なギターの響きが消えて、フルートと一斉に駆け出す感じの舞曲的なメロディがとても素敵で印象的です。6曲目「Tangallo」はタンゴヴァイオリン奏者の重鎮、Ramiro Galloに捧げられていて、そのRamiroとチェロのFernando Silvaとのトリオ編成による現代アルゼンチンタンゴです。7曲目から13曲目にかけては組曲「Rayuela」。曲によって現代曲であったりコンテンポラリーなジャズの様相を見せていたり、シンセサイザーやサンプリングを重ねたり、タンゴやカンドンベのようなオーソドックスな形式を使いながらもコンテンポラリーな響きを引き出していたりと、何故組曲なっているのか今ひとつつかめませんが、いずれも鋭さと美しさ、緊張と緩和が同居したコラージュ的な要素が「Rayuela」の示す「遊び」なのかもしれません。中でもタイトル曲「Rayuela」はとても緩やかな美しい曲なのですが、先に紹介した4曲目の「Dulce Carolina」以上に緊張感を孕んだ美しさです。何とも存在感のあるLuisのギターの音色がとにかく素晴らしい。組曲の次に、がらっと変わって14曲目はチリの農村の伝承曲「A la mar fui por naranjas」をJuanとデュオで渋くキメています。ピアノの現代的な不思議な響きの導入を経て、最後の16曲目「El pavo」(七面鳥)はチリの南部Chiloé島の舞曲をモチーフにした曲、現代的な音響派やフリージャズのアプローチを重ねた不思議なというか、一度耳にすると離れ難い魔モノのような魅力のある演奏です。

diskunionのサイトに詳しく紹介されています。

 

http://diskunion.net/latin/ct/detail/LT4034

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